今回は投資のリスクとリターンの関係性について解説していきます。
基本的に投資とは、リスクを取れば取るほど収益は大きく、逆にリスクを取らないほど収益は少なくなります。
ただし、過剰にリスクを取ってしまったり間違った方法で投資を行うと、あなたの資産が減るだけではなく、最悪の場合資産がゼロになる、いわゆる退場と呼ばれる状態になる可能性が高くなります。
では、投資において、どのようにリスクを取ればよいのでしょうか。
今回はそんな投資のリスクとリターンについて解説していきたいと思います。
投資のリスクとリターンの関係
まず初めに、投資のリスクとリターンの基本的な関係について解説していきます。
投資におけるリスクとは投資先が予期せぬ結果をもたらす可能性のことを指します。
例えば市場の変動や経済の不安定性によって、投資先の企業や商品、通貨の価値が下落してしまうことがその最たる例でしょう。

また、その他にも流動性の低い商品を手にした場合、現金化するまでの時間が長くなってしまい、結果的に価値が下落して元本割れを引き起こす流動性リスクも、投資のリスクの1つです。
その他にも債券や株式を購入した際に、発行元が破綻してしまい資産価値がゼロになってしまう信用リスクなど、投資には様々なリスクが常に存在しています。
これらのリスクは投資において必ずしも回避できないものであり、投資家は自身のリスク許容度や目標に基づいてリスク管理の戦略を慎重に立てる必要があります。

投資先のリスクとリターンの関係性について具体的な例を挙げて解説
それでは実際に投資のリスクとリターンの関係性について詳しく見ていきましょう。
ちょうど、少し前の記事でローリスクローリターンの投資、ハイリスクハイリターンの投資という項目がを書いた記事がありますので、今回はそちらの記事から株式投資でのリターンとリスクの関係についてみていきましょう
ローリスクな株式投資とは
株式投資の場合、いわゆるローリスクな投資というのは、安定した大手企業の株を長期保有を目的として保有すること、というのが一般的でしょう。
例えば日本産業の大きな柱でもある自動車産業、そのトップ企業といえば、もうどの企業かはお分かりでしょうが、こういった企業の株を長期間保有する場合、その株式を保有している間…例えば10年、20年後も会社が存続しているか?と言われれば、おそらくほとんどの場合『Yes』という回答になるでしょう。
また、企業自体も成長している可能性があるため、長期的な目線で見れば株式の価値上昇+配当金や株主優待券などの利益を安定して受け取ることができるでしょう。
ちなみに例に挙げた企業の場合、2013年7月の株価は安値が1178円、高値は1308円でした。
しかし執筆時の2023年7月には2218円となっているため、ここ10年で2倍近くの伸びを見せています。
もちろん2013年7月以前には1株500円程度だった時期もあるので、一概に上がり続けているという事ではありませんが、少なくとも0にはなっておらず、買い時さえ間違えなければ今後も伸びていく資産であることは間違いないでしょう。

ハイリスクな株式投資とは
では逆に、株式投資でハイリスクな例とはどのようなものでしょうか。
株式投資の場合、一番ハイリスクなものはベンチャー企業など、まだ出来て日が浅い企業への投資でしょう。
なぜならベンチャー企業などの新興企業は、企業の地盤ができておらず成功の保証がないためです。
多くのベンチャー企業は出来てからしばらくの間は成長の段階であり、市場の変動や競争の激化にさらされ、事業が失敗する可能性があります。
また、資金調達の難しさや経営の不確定性もリスク要因となりえます。
そういった結果、数年で倒産するベンチャー企業も少なくないので、結論としてこういった企業への投資は大きなリスクが伴うのです。

ではほかの投資はどうなのか?
さて、上記では株式のみにフォーカスしましたが、他の投資方法のリスク・リターンはどうでしょうか。
代表的な投資例『債券』『不動産』『投資ファンド』の3つに分けて見ていきましょう
債券
まずは債権についてです。
債券のリスクとしては、主に信用リスクと金利リスクがあります。
信用リスクは、債券発行体が債務不履行に陥る可能性を指します。
債券にも株式と同様に発行元がいますので、その発行体の信用力が低下すれば、利息収入が減少するだけでなく、最悪の場合は債務不履行となり元本が0になる、0とまではいかなくても元本の返済額が大きく減少したり返済までの期限が伸びる、などのリスクがあります。
これが、債権の信用リスクです。

次に金利リスクですが、これは市場金利の変動によって債券価格が変動するリスクです。
一般的に金利が上昇すると、既存の債券の価格は下落し、逆に金利が下がると価格は上昇します。
これが金利によるリスクです。
それでは、債券のメリットは何でしょうか?
債券のメリットは、安定した利息収入と資本保全性です。
債券は定期的な利息収入を提供し、債務不履行にならない限りは基本的に元本の返済が予定されています。
このため、安定したキャッシュフローや収益が期待できます。
また、債券は株式などのリスキーアセットに比べて相対的に安全性が高く、資本保全の観点から選択されることもあります。
さらに、債券はリスクに応じて格付けされているため、投資家はリスク許容度に応じて適切な債券を選ぶことができます。
これが債券投資のメリットです。

不動産
次に不動産投資のリスクとメリットを見ていきましょう
まず一つ目のリスクは、市場リスクです。
不動産市場は景気変動や地域の経済状況の影響を大きく受けます。
不動産の需要や賃料の減少、空室率の上昇など、市場の変動によって投資価値や収益が減少する可能性があります。
また、法規制や税制変更などもこういった市場の変化リスクに含まれます。
もう一つのリスクは、資金や運営に関するリスクです。
不動産投資には土地やマンションを購入するための大きな資金が必要であり、資金調達やローン返済が月々の負担となる場合があります。
また、管理やメンテナンスなど、運営上でも金銭の負担や運営上の問題も生じる可能性があります。

それでは、不動産投資のメリットとはなんでしょう。
それは収益の安定性と資産価値の上昇です。
例えば賃貸物件からの家賃収入を得る場合、家賃として定期的なキャッシュフローが期待できます。
また、不動産は需要と供給に基づいて価値が変動します。
この価値の変動によっては、将来的な資産価値が上昇することが期待できます。
これにより、キャピタルゲインや資産のインフレ対策としての機能も期待できることでしょう。
また、不動産投資はポートフォリオの多様化にも貢献します。
不動産は株式や債券とは異なるリターンの特性を持つため、投資リスクの分散に役立つことがあります。
これが不動産投資のメリットです。

投資ファンド
それでは最後に投資ファンドのリスクとメリットを見ていきましょう。
投資ファンドにも株式や債券と同様に市場リスクが存在します。
ファンドは株式や債券などの市場に資産を分散して投資するため、それらの市場価格の変動によって投資価値が上下するリスクがあります。
投資先市場の不確実性や変動性がファンドのリターンに影響を及ぼす可能性があります。
また、ファンドには運営やマネジメントに関わるリスクも存在します。
ファンドマネージャーの投資判断や運用能力によって投資結果が変わるため、こういったリスクはマネージャーリスクやビジネスリスクとも呼ばれます。
また、ファンドの運営にはコストや手数料がかかることもあり、投資リターンに影響を及ぼす可能性があります。

では投資ファンドのメリットとは何でしょうか。
投資ファンドのメリット、それは何といってもプロの運用とリスク分散でしょう。
ファンドマネージャーは市場の情報や専門知識を活かし、ポートフォリオを運用します。
プロの選別力や運用能力が活用できるため、自身で個別投資をするよりも効率的な運用が期待できます。
また、複数の資産クラスに分散投資することができるため、リスクを分散しながらポートフォリオの安定性を高めることができます。
これが投資ファンドのメリットです。

リスク管理とポートフォリオの構築
ではこういった投資のリスクについてどのように対策をすればよいでしょうか。
まず投資のリスクを管理する場合、自身の投資目的やリスク許容度を明確にすることが重要です。
自分の投資に回せるお金や稼ぎたい目標等をもとに適切なリスクレベルを設定し、それに基づいて投資戦略を構築します。
投資のリスク管理とポートフォリオの構築には、十分な情報収集、適切な分散投資、リサーチと分析、定期的な見直しなどが欠かせません。

投資家は自身の投資目的とリスク許容度に基づいて、綿密な計画と戦略を立て、リスクとリターンのバランスを追求することが重要です。
リスクレベルの考え方についてはこちらも参照してください。
リスクを管理するためのポートフォリオを組もう
次にリスクを分散するためポートフォリオを組みましょう。
ポートフォリオを組んでリスクを分散するためには異なる資産クラスや地域、業種に投資する必要があり、こういった投資方法を分散投資といいます。
分散投資を行い、資産をいろいろな業界や資産に投資することで、特定の業界や資産の下落による影響を軽減することができます。

また、ポートフォリオを組む場合、リスクとリターンのバランスも考慮しましょう。
株式、債券、不動産、投資ファンドなどからリスクの高い投資とリスクの低い投資を組み合わせることで、リスクを管理しながらリターンを追求することが可能です。

また、一度ポートフォリオを組んだからといって安心せず、定期的なリバランスを行うことも重要です。
ポートフォリオ内にある資産の動きを見つつ、ポートフォリオ内の市場環境や投資対象のパフォーマンスに合わせて、ポートフォリオの配分を見直し、最適なリスクとリターンのバランスを保つことが求められます。

結論
今回は投資の特徴やそのリスク、メリットを個別に掘り下げて解説をしました。
この記事をもとに投資をする際のリスク管理や分散投資などについて考えていただければと思います。
余談ですが、投資の世界には「卵は1つのかごに盛るな」という有名なことわざがあります。
この言葉の意味はそのままで、卵を運ぶときは一つのかごに入れず、いくつかに分けて運べというものです。

これを投資に当てはめて考えると、資金を1つの資産にまとめて投資せず、値動きの異なるさまざまな種類の資産に分散して投資しなさい、という事になります。
ぜひ皆さんは自身のリスク許容度や資金力をもとに、最適なリスク管理を行い、この投資の世界を生き残ってください。
それでは今回はこの辺で。
コメント